○大宜味村議会基本条例
令和4年3月17日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会と議員の活動原則(第2条・第3条)
第3章 村民と議会の関係(第4条)
第4章 村長等と議会及び議員の関係(第5条~第8条)
第5章 自由討議の拡大(第9条)
第6章 議会・議会事務局の体制整備(第10条~第13条)
第7章 議員の身分・待遇、政治倫理(第14条・第15条)
第8章 最高規範性及び見直しの手続き(第16条~第19条)
附則
前文
大宜味村は明治41年(1908年)4月1日、「沖縄県及び島嶼町村制」の施行により「大宜味村」となる。
本村議会は、昭和23年(1948年)3月8日に第1回大宜味村議会が開会された。先人たちの苦難の中から創造した大宜味村は伝統と村民の村を愛する誇りに支えられて、「長寿の里」「芭蕉布の里」「シークヮーサーの里」「ぶながやの里」として、自然豊かな環境に恵まれた村である。
大宜味村議会は村長と同様に村民から直接選挙で選ばれた村民を代表する機関である。この2つの代表機関は、共に村民の負託に応える活動をし、議会は多人数による合議制の機関として、また村長は独任制の機関として、それぞれの異なる特性を生かして、村民の意思を村政に的確に反映させるために切磋琢磨し合って、大宜味村としての最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。
議会が村民の代表機関として、地域における民主主義の発展と村民福祉の向上のために果たす役割は、ますます重要になっている。特に地方分権の時代を迎えて、自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日、議会がその持てる機能を十分に駆使して、自由闊達な討議を通して、政策の立案、決定、執行、評価における論点、争点を広く村民に明らかにする責務を有している。
議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)の規定を遵守するとともに、積極的な情報の公開、政策活動への多様な村民参加の推進、議員間の自由な討議の展開、村長その他の執行機関との持続的な緊張の保持、議員の資質の向上、公正性と透明性の確保、議会活動を支える体制の整備等について、この条例の規定を遵守し、実践することにより、村民に信頼される、議会を築こうとするものである。
このような議会の責務を果たすとともに、議会の在り方を実現するために本条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、村民に身近な議会として、議会の基本理念、議員の責務、活動原則等を定め、地方自治の本旨に基づく村民の負託に的確に応え、もって村民の福祉の向上及び豊かな村づくりの実現と、村政の発展に寄与することを目的とする。
第2章 議会と議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、民主主義を基本とする村民の代表機関であることを常に自覚し、公正性・透明性・信頼性を重視し、村民参加を推進し、村民に開かれた議会を目指して活動する。
2 議会は、議員、村長、村民が村づくり等の自由な討論の場であることを認識し、その実現のために、議会運営について協議調整し、その役割を果たさなければならない。
3 議長は、村民の傍聴に関し、議案の審議に用いる資料等を提供するなど、村民の傍聴の意欲を高める議会運営に努めるものとする。
4 議長は、会議を休憩する場合には、その理由及び再開の時刻を宣告するよう努めるものとする。
(議員活動の原則)
第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない。
2 議員は、村政の課題全般について、日常の調査及び研修活動を通じて自らの資質の向上に努めるとともに、村民の意見を的確に把握し、村民の選良として、ふさわしい活動をするものとする。
3 議員は、地域の個別的な事案の解決だけでなく、村民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。
第3章 村民と議会の関係
(村民参加及び村民との連携)
第4条 議会は、議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに、村民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会(以下「委員会」という。)及び全員協議会を原則公開する。
3 議会は、村民、村民団体、特定非営利活動を行う団体等(以下「村民等」という。)との意見交換の場を設けて、議会及び議員の調査能力を強化するとともに、政策提言の拡大を図るよう努めるものとする。
4 議会は、提案に対する各議員の態度を議会広報で公表する等、情報の提供に努めるものとする。
5 議会は、前各項の規定に関する実効性を高める方策として、全議員の出席のもと、村民等と議員との意見交換会を少なくとも年1回開催して、議会の説明責任を果たすとともに、村民等の意見を聴収して議会運営の活性化を図るものとする。
6 議会は、請願及び陳情を村民等による政策提案と位置付け、真摯に取り扱うものとする。
7 議会は、請願者又は陳情者の求めに応じて、請願者及び陳情者が意見陳述等を行う場を設けるよう努めるものとする。
8 議会は、請願者又は陳情者に対し、審議結果の伝達並びに処理の経過及び結果等の情報の提供を図るものとする。
第4章 村長等と議会及び議員の関係
(質問、質疑における質疑応答の方法)
第5条 議会の本会議における議員と、村長、執行機関の長及び補助機関である職員(以下「村長等」という。)との質疑応答は、大宜味村議会会議規則(昭和62年議会規則第1号)第55条の規定により、同一議員につき同一議題について3回を超えることができない。ただし、特に議長の許可を得たときは、この限りではない。
2 一般質問は事前通告し、村長等は答弁書を提出するものとする。質問は一問一答方式で行う。
(村長による政策等の形成過程の説明)
第6条 議会は、村長が議会に政策、施策、計画、事業等(以下「政策等」という。)を提案予定するときは、政策等の水準を高めるため、政策等の提案に至った経緯、理由の説明を求めることができる。
2 議会は、政策等の提案を審議するに当たっては、その立案及び執行における論点及び争点を明らかにすることともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(議案審議における説明資料の提供)
第7条 議会は、村長が議会に議案を提出する場合、審議を深められるよう分かりやすい説明資料の提供を求めることができる。
(議決事件)
第8条 法第96条第2項の規定により議会が議決する事件は、別に条例で定める。
第5章 自由討議の拡大
(自由討議による合意形成)
第9条 議長は、議会が議員による討論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由討議を中心とした運営に努めるものとする。
2 議会は、本会議、委員会において、議案審議等の結論を出す場合にあっては、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
3 議員は、自由闊達な討議を経て、政策、条例、意見等の議案を積極的に提出するよう努めるものとする。
第6章 議会・議会事務局の体制整備
(委員会等の適切な運営)
第10条 議会は、社会経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、委員会及び全員協議会の適切な運営に務めなければならない。
(議会事務局の体制整備)
第11条 議会は、議会及び議員の政策形成・立案機能を高めるため、議会事務局の調査・法務機能を積極的に強化する。
(議員研修の充実強化)
第12条 議会は、議員の政策立案及び政策提言の能力の向上を図るため、積極的に議員研修の充実強化を図るよう努めるものとする。
(議会広報の充実)
第13条 議会は、村政に係る重要な情報を、議会独自の視点から、常に村民に対して周知するよう努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの村民が議会と村政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第7章 議員の身分・待遇、政治倫理
(議員定数及び議員報酬)
第14条 議員定数(以下「定数」という。)及び議員報酬(以下「報酬」という。)は、別に条例で定める。
2 議会は、定数及び報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、村政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して村民の意見を聴取し、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
(議員の政治倫理)
第15条 議員は、村民の負託にこたえるため、高い倫理義務が課せられていることを常に自覚し、村民の代表者としての良心と責任感を持って、議員としての品位と見識を養うよう努めなければならない。
第8章 最高規範性及び見直しの手続き
(最高規範性)
第16条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則、規程等を制定してはならない。
(議会及び議員の責務)
第17条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、もって村民を代表する合議制の機関として、村民に対する責任を果たさなければならない。
(見直し手続き)
第18条 議会は、必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。
2 議会は、前項による検討の結果、条例、規則、規程等の改正が必要な場合は、この条例の改正を含む適切な措置を講ずるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員が賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
(委任)
第19条 この条例に定めるもののほか、必要な事項については、議長が別に定める。
附則
この条例は、令和4年4月1日から施行する。