御願(ウグワン)バーリー

ファーリーははじめにフギバン(ファーリークワーとも言い、比較的若い者たちが二十人乗る)が屋古のフルガンサを出発し、続いてウフバーリー(比較的ベテランの者四十余人が乗る)がそれぞれ三艘ずつ出発する。おのおののファーリーにはファーリーガミが二〜三人乗って、こぎ手の「エイサーエイサー」の掛け声に合わせてクバ扇を打ち振る。しぶきを上げて疾走するそのさまは龍が水をかき分けて突っ走るようにも見えて壮観である。
 対岸の塩屋では各ムラの婦人たちが藁鉢巻姿で腰元まで海水につかり、ティサジ(手拭い)を打ち振り太鼓を鳴らして迎える。
 ファーリーが対岸に着くと、乗組員も櫂を持って海に飛び込み、櫂と櫂を互いにたたきながら勝利を誇り、ウンガミも最高潮に達する。その頃、陸路ヌルの行列(ウマンザ)が通ると、今までにぎやかだった婦人たちやファーリーの乗組員たちも一斉に鉢巻を取り、櫂を横にして敬虔な気持ちでヌルの行列を手を合わせて拝む。沿道の人々もひざまずき手を合わせて拝む中をシマンホーが太鼓をたたきながら〈ヌール ヌ メーカラ ニシンマンニン アシズーク チマズーク ウトイミソーリ ウーサレリー〉と唱えながら通る。そのときは一瞬水をうったかのように静まり返る。
 
 

 

 

         ナガリ

ヌルの行列はナガリ(ハニクバマ=兼久浜)に向かう。到着するとシマンホーの又ザイ四本を支え合わせて渚に立てる。ヌルを中心に若ヌル、ウフシル、ニガミ、スリガミそれに門中の付き人たちがニレー(西の海)に向かって祈願する。
・・・・
「ニレージュウグ カラ アマチャニ シラチャニ ワシヌトイ ガ ククリモーチ ツーシジヤー クェーフーミーフー ツクルムズクイ マンサク ヌ ウタシキ ミソーリ ユイムン ハップムン ヌン ウタシキ ミソーリ」

 

・・・・ 「海のかなたから大きな鷲の鳥が五穀の種子をくわえて来て諸人を豊かにするように、豊作豊漁をお助けください。」

 

○祈願が終わると、シマンホーが水際でニレーに向かって、又(マタ)ザイで海水をかきあげてイルカを捕るしぐさをする。

 

パーシ

 ナガリの行事がすむとヌルの行列は同じ神道をシナバに戻る。そこでヒンメー酒(門中の人々が差し出す酒を飲んで休止する)の後、ヌルがタンナ・ウタキ田港御獄)へのつなぎの祈願をする。小太鼓がガジュマルの枝に吊るされ、ヌルの唱えるウムイにハミンチュたちが調子をつけて唱和する。

パーシのウムイ・・・・
「ヨハヨハ スクムイスクダキ クイシンヌル トハシグチ ヌンジカキテ スクムイスクダキ ヌンジカキテ スクムイスクダキ ハニラムトハニアサギ ヌンジカキテ シザラダキシザラムイ ハニラムトハニアサギ ヌンジカキテ ナガリマリ ウトイミソーチ クイシンヌル ウマンチュニ ウガマリテ ウマンチュヌ ウユイトラ ミルクユン フイミチラ ユアギマク シナバ マデ ウトイミソーチ アケズバニ ヌ キタリテ スリタリテ ムカシヤ アンルスタル カンルスタル」
                   ・・・・・ 「田港の御獄、ヌン殿内、アサギで念願をかけ、屋古のアサギ、御獄に念願をかけ、ナガリ(兼久浜)までお通りなされた。神高しいヌルは世の人々に崇められ、豊かな世をもたらしましょう。シナバ(青年浜)までおいでになって神衣裳をまとい、蝶のように袖をひらひらなびかせて、豊かな世の中を招き寄せましょう。」

 

 

 

 
 
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